読書は必要か? 新聞に、「読書をしなければいけない理由を教えて頂きたい」という「大学生の投稿」(文章Ⅰ)が掲載され、歌人の穂ほ村む弘ひ氏が答えている(文章Ⅱ)。読書は「人生の必修科目」なのだろうか。読書時間に関するグラフ(資料)も参考にして考えてみよう。体験と思索(随想単元)▼発端となった新聞記事を見てみよう。5ら1体験と思索(随想単元) ろし1大学生の投稿 大学生の読書時間に関するアンケート結果を報じた新聞記事(二〇一七年二月二四日)を受けての投稿。上の投稿文が掲載されたのは、「朝日新聞」二〇一七年三月八日の朝刊。評論学習にもつながる論理性の高い随想を選定。深い思索をもとに人生を真正面から問う文章4編を採録しました。複数の文章(Ⅰ・Ⅱ)と資料から考える10182017年2月24日の新聞記事 読書はしないといけないの?文章Ⅰ 大学生の投稿 大学生(東京都 21)1「大学生の読書時間『0分』が5割に」(2月24日朝刊)という記事に、懸念や疑問の声が上がっている。もちろん、読書をする理由として、教養をつけ、新しい価値観に触れるためというのはあり得るだろう。しかし、だからと言って本を読まないのは良くないと言えるのだろうか。 私は、高校生の時まで読書は全くしなかった。それで特に困ったことはない。強いて言うなら文字を追うスピードが遅く、大学受験で苦労したぐらいだ。 大学では教育学部ということもあり、教育や社会一般に関する書籍を幅広く読むようになった。だが、読書が生きる上での糧になると感じたことはない。 役に立つかもしれないが、読まなくても生きていく上で問題はないのではないかというのが本音である。読書よりもアルバイトや大学の勉強の方が必要と感じられるのである。 読書は楽器やスポーツと同じように趣味の範囲であり、読んでも読まなくても構わないのではないか。なぜ問題視されるのか。もし、読書をしなければいけない確固たる理由があるならば教えて頂きたい。5050体体験験とと思思索索ⅠⅠ
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