令和8年度用 探求 現代の国語 カタログ
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評論Ⅱ書35                      restチドリ目シギ科の鳥の総称。長いく春・秋に旅鳥として通過する。2助役市町村長を補佐し、その職務を代理する職。現在は、「副市長」などと言う。3レストハウスhouse(英語)。休憩所。らない。何と呼びかければいいのかと質問してみたのであるが、近隣にくまが一匹もいないことを確認してから、「今のところ名はありませんし、僕しかくまがいないのなら今後も名を名乗る必要がないわけですね。呼びかけの言葉としては、貴あなた方、が好きですが、ええ、漢字の貴方です、口に出すときに、ひらがなではなく漢字を思い浮かべてくださればいいんですが、まあ、どうぞご自由に何とでもお呼びください。」との答えである。どうもやはり少々大時代なくまである。大時代なうえに理屈を好むとみた。川原までの道は水田に沿っている。舗装された道で、時折車が通る。どの車もわたしたちの手前でスピードを落とし、徐行しながら大きくよけていく。擦れ違う人影はない。たいへん暑い。田で働く人も見えない。くまの足がアスファルトを踏む、かすかなしゃりしゃりという音だけが規則正しく響く。暑くない?「暑くないけれど長くアスファルトの道を歩くと少し疲れます。」と答えた。「川原まではそう遠くないから大丈夫、ご心配くださってありがとう。」続けて言う。さらには、「もしあなたが暑いのなら国道に出てレストハウスにでも入りますか。」などと、細かく気を配ってくれる。わたしは帽子をかぶっていたし暑さには強い方なので断ったが、もしかするとくま自身が一服したかったのかもしれない。しばらく無言で歩いた。遠くに聞こえ始めた水の音がやがて高くなり、わたしたちは川原に到着した。たくさんの人が泳いだり釣りを〈知〉の深化②:小説「神様」 川上弘美したりしている。荷物を下ろし、タオルで汗を拭った。くまはと尋ねると、くまは、教科1鴫ちばしと脚を持ち水辺にすむ。日本では紙面紹介 「神様」151081 〈知〉の深化 神様 33人の言葉を話す「くま」と「わたし」とのささやかな交流を描いた作品です。〈解釈の多義性〉をテーマとした評論「読む」(外山滋比古)と組み合わせて学習できます。

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