令和8年度用 探求 現代の国語 カタログ
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評論Ⅱ4「読み手のコンテクスcontext(英語)。文脈。text(英といっても差し支えないはずである。高度の読みは、創作に通ずる創造である。表現を読むおもしろさも、その創造的活動に付随する効果ということである。解釈は、テクスト自体によって規制されない部分を多く含んでいる。読み手のコンテクストによって大きく左右される。読みはきわめて個人的なものである。一つの表現を十人の読み手が読めば、厳密にいえば、十色の違った解釈になるのが自然、当然である。同じ人間でも、読むたびに、違った解釈になることも避けることができない。読みは一回一回、独自の解釈を生じて成立する。解釈は読まれる回数だけ多数多様になる。そのうちの一部、あるいは一つだけの解釈が正しくて、ほかのものはすべて誤解であるといった考え方の上には、言語表現は立脚していない。むしろ、さまざまな解釈を許容するところにその特性があると考えることができる。数学の文章は解釈の余地が少ない。したがって、読んでおもしろくなく、感銘、感動することはない。法律の条文は、それに比べると、解釈を許す部分があって、古来、法解釈学という学問もあるくらいであるが、読み手の解釈に対して制限的であるところから、読んでおもしろい条文というものは考えにくい。最も活発な解釈を許す、むしろ、誘発するのが文学的表現である。不確定要素が特に用意されている。当然、解釈がなくてはわからないが、解釈をすること自体が喜びを与え31425評論単元:〈知〉の深化          1テクスト語)。原文。本文。ト」とは、どういうものか。2コンテクスト背景。3法解釈学法の具体的な適用に役立たせるた〈解釈の多義性〉をテーマとした評論「読む」(外山滋比古)では、小説「神様」(川上弘美)と組み合わせて、テーマの理解をさらに深められます。 め、個々の法律の条文の意味を解釈によって明確化し、全体の体系化を図る法律学。151078〈知〉の深化30

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