ほどほどのデザイン佐さ藤とう*1ど*15紙面紹介 プロローグ解説1/「ほどほどのデザイン」教科書 1 「この言葉の深い意味合い」とは、どのようなものか。1ニュアンス(フランス語)。微妙な意味合い。nuance日本には昔から「ほどほど」という実にいい言葉があります。もっとも子どもに対しては、ほどほどのところでやめておきなさいと諭してしまうよりも、飽きるまでやらせる育て方の方に一票を投じたいと思いますが、仕事の経験を積んでくると、この言葉の深い意味合いが少しずつわかってきます。「ほどほど」には、やりきらずに手前で留とめておくといったニュアンスがあります。これをデザインにそのまま置き換えてみると、「ほどほどのデザイン」となる。それだけを耳にすれば、あまりいいデザインではないような印象でしょうが、「ほどほどのレベルを徹底的にデザインする」、あるいは「ほどほどのデザインを極める」こととして捉えるなら、印象は一変するはずです。つまりここでお話ししたい「ほどほど」とは、やりきることも承知しながら、あえて手前の程よいところを見極め、そこで仕上げておくことなのです。この、少し手前でほどほどに留めておくデザインによって生まれる「空き」こそが、人がものと自分なりのしかたで付き合うことを可能にする余地になります。その人その評論Ⅰ1026卓たく15評論学習の流れ「プロローグ解説」⇒「本文読解」⇒「学習の手引き」⇒「言語活動」すべての評論単元において、導入から表現活動まで一貫した学習の流れの構成です。
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