令和8年度用 新 現代の国語 ダイジェスト版
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第六夜らか二九一ページ1運慶?~一二二三。鎌倉時代初期の仏師。2護国寺東京都文京区にある真言宗の寺。3山門寺院の門。4仁王仏法護持の目的で寺門の両脇に置かれる一対の金剛力士像。5下馬評世間の人々が興味本位で種々の評を交わすこと。6五、六間一間は、約一・八メートル。7甍一六二ページ注4参照。8車夫人力車を引く人。9辻待ち道端で乗客を待つこと。 こういうことだと聞いてますよ。私たちが今生きている時代の課題を解決するための提案書を書こう。▼活動*骨が折れる1運う慶けが2護ご国こ寺じの山門で仁王を刻んでいるという評判だから、散歩ながら行ってみると、自分より先にもう大勢集まって、しきりに下馬評をやっていた。山門の前五、六間けの所には、大きな赤松があって、その幹が斜めに山門の7甍いを隠して、遠い青空まで伸びている。松の緑と朱塗りの門が互いに照うり合ってみごとに見える。その上松の位置がいい。門の左の端を眼め障ざりにならないように、斜はに切っていって、上になるほど幅を広く屋根まで突き出しているのが何となく古風である。鎌倉時代とも思われる。ところが見ている者は、みんな自分と同じく、明治の人間である。そのうちでも車夫が一番多い。9辻つ待まちをして退屈だから立っているに相違ない。「大きなもんだなあ。」と言っている。「人間をこしらえるよりもよっぽど骨が折れるだろう。」とも言っている。そうかと思うと、「へえ仁王だね。今でも仁王を彫るのかね。へえそうかね。わっしゃまた仁王はみんな古いのばかりかと思ってた。」と言った男がある。「どうも強そうですね。なんだってえますぜ。昔から誰が強いって、仁王ほど強い人じ*85わすつ6ん43くんい5                          10内容解説資料文学的文章:夢十夜287 夢十夜10なんだってえますぜ104410展望を描く

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