本教科書での「夢十夜」夢の中で展開される不思議な物語を通して、言語活動への意欲を喚起する教材です。作品の魅力を伝える活動や、作品に倣って批評的に現状を捉える活動に取り組みます。文学的文章:夢十夜422821 瓜実顔 瓜の種に似て、面長で色白の顔。510第一夜 こんな夢を見た。 腕組みをして枕もとに座っていると、あおむきに寝た女が、静かな声でもう死にますと言う。女は長い髪を枕に敷いて、輪郭の柔らかな瓜うり実ざね顔がおをその中に横たえている。真っ白な頰の底に温かい血の色が程よく差して、唇の色は無論赤い。とうてい死にそうには見えない。しかし女は静かな声で、もう死にますとはっきり言った。自分も確かにこれは死ぬなと思った。そこで、そうかね、もう死ぬのかね、と上からのぞき込むようにして聞いてみた。死にますとも、と言いながら、女はぱっちりと眼めを開けた。大きな潤いのある眼で、長いまつげに包まれた中は、ただ一面に真っ黒であった。その真っ黒な瞳の奥に、自分の姿が鮮やかに浮かんでいる。 自分は透き通るほど深く見えるこの黒眼の色つ沢やを眺めて、これでも死ぬのかと思った。1夢十夜夏なつ目め漱そう石せき学びの位置づけ(二七一ページ)「夢十夜」第一夜のテーマや魅力を紹介するポップを作成しよう。▼活動二八六ページ10展望を描く
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