令和8年度用 新 現代の国語 ダイジェスト版
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紙面紹介 「情報の扱い方」/「情動の必要性」1501 情動  ここでは、喜怒哀楽などの心の状態であり、心に感じる側面だけではなく、鼓動の高まりなど身体的な側面を含むものをも指す。2 批判的思考  物事や情報を無批判に受け取らず、多様な面から論理的・客観的に検討すること。クリティカル・シンキング。510 カッカしながら考えたり、喜びの絶頂で買い物したりすると、悪くない人まで悪く思ったり、買わなくてもよいものまで買ってしまったりしがちだ。感情的になると、人間は物事の本質を見失い、判断を誤る。このような例は枚挙にいとまがない。だから、批判的に思考するには、情動を排して、沈着冷静に考えなければならない。情動は有害であり、純粋に理性的な思考が必要だ。 しばしばこのように考えられがちだが、もしそうだとしたら、情動はいったい何のために存在するのだろうか。我々にとって情動はむしろ存在しない方がよいようなお荷物にすぎないのだろうか。確かに、成功の喜びや家族の愛情など、我々にとって生きる意味を与えてくれる情動もあり、そのような情動はそれ自体として価値があろう。しかし、それらが批判的思考の役に立つのかといえば、そうではない。情動はやはり批判的思考にとって有害か、あるいはたかだか無用なものにすぎないのではないか。こうして批判的思考は純粋に理性的な心の働きによるのだという考えがまったく当然のように思えて*1*2*情動の必要性信のぶ原はら幸ゆき弘ひろ学びの位置づけ(一四一ページ)6論理を組み立てる教科書教材紹介「情動の必要性」 信原幸弘31物事を批判的に考えるうえで、「情動」は有害なのか?情動の役割を捉え直し、理性と情動の適度な割合について考える評論です。

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