本文全体の内容を捉えるための設問です。﹁授業展開﹂との関連でご活用ください。e指導資料(小説) この小説を下人の心理・行動の変化に従って四つの場面に分け、場面4 それぞれの場面で下人の心理を描写している部分を抜き出し、その変化の様子を整理してみよう。解答場面1 羅生門の下○雨やみを待っていた。・Sentimentalism→・途方に暮れていた。た。場面2 羅生門のはしご○楼の内をのぞき、老婆の行為を見た。→・六分の恐怖と四分の好奇心。・恐怖が少しずつ消えていった。・あらゆる悪に対する反感。場面3 羅生門の楼の上→・安らかな得意と満足。教○材老本婆の文答をえをよ聞りいた深。く理解するた③□め赤くの頰手にうがみかをり持っとたし大きてな、にき読び解上③下人は、自分がこだわってきた□にき下人のこれまでの姿(考え・生き方)を象徴していると取ることができるだろう。それを気にしているのだから、盗人になる勇気が出ずにいる状態、不安定な心理状況がまだ続いていることを表していると考えられる。④下人は、ついに□にきび□から手を離し、新しい行動を起こす。□にきび□は、③で考えたようにこれまでの下人の姿であり、それから手を離したことで、新しい考えを下人が選び取ったことを象徴していると考えられる。自我が変容し、この世界を生き抜いていく強靭な新しい自我が誕生したので、これまでの逡巡の原因である倫理的な意識は消えたのである。9︻薪︼かまどや炉などにくべる木。まき。5︻*暇を出す︼解雇する。くびにする。(例)仕えていた主人が亡くなって、暇を出された。8︻衰微︼衰え弱ること。衰退。読解の○手老引婆きをねじ倒した。・ (盗人になる)勇気が出ずにい・ 前の憎悪が、冷ややかな侮□と◆◆◆のポ→イ・ 老ン婆トの答やえ表が存現外の、平特凡徴なのにに関すをる気「にし読な解がらの□(手二引一四き・」8)を…下示人しまび□からまだ手を離すことができない。した。失本望文した読。解のまとめとしてがごこ利れま用でいの自た分だ(自け我ま)をすま。だ保っ教科書(一六〇〜一七三)論理を羅生門一緒に、心の中へ入ってきた。○老婆の弁解を聞いた。→・ ある勇気(盗人になる勇気)が生まれてきた。○老婆の着物を剝ぎ取り、老婆を蹴倒してはしごを駆け下りた。羅生門の下○姿を消した。本文中四か所に見られる下人の「にきび」の描写は、物語の展開上どのような効果を上げているか、説明してみよう。解答①□右の頰にできた、大きなにきびを気にしながら□(一六二・1)…下人の若さを表す効果。下人という作中人物にリアリティー(現実感)を持たせる効果。②□赤くうみを持ったにきびのある頰である□(一六四・11)…□一人の男□(一六四・9)が下人であることを示し、場面の転換と視点の移動を印象的に表す効果。(病んでいる自我を象徴していると取る考えもある。)ていることを表す効果。組み立てる④□不意に右の手をにきびから離して□(一七一・1)…下人がこれまでの自分(自我)を捨てて、新しい道に進むことを表す効果。解説①下人の年齢が□にきび□のできる年頃であることがわかる。ここから、下人が人生経験や社会経験に乏しいことも想像できる。□にきび□という肉体的な特徴を描くことで、下人が実在の人物のように読者の前に姿を現すのである。②第一段落から第二段落への場面転換の際、映画的な表現方法が用いられている。すなわち、カメラのような視点の移動や下人の姿のクローズアップである。下人を違う角度から第三者的に見るときに、それが下人であることを表すのが□にきび□である。また、ここでの□にきび□は、下人が下人であることを証す指標(自我)としての意味を付与されていると取る考えもある。そう考えた場合には、さらに□にきび□が□赤くうみを持っ□ている点にも注目される。この□にきび□(=自我)は、病んでいる(=行き詰まっている)と考えることができるのである。この□にきび□は、②で下人の存在を表すものとして出てきたわけだから、一六〇ページ一六一ページ一六二ページ重要語・慣用表現読解の手引き10︻顧みる︼振り返る。心にかける。12︻刻限︼時刻。時間。表現 2読解 1読解 198
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